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やめること

    先輩が仕事を辞めた。2年目の先輩で、某4大会計事務所に転職する。そういえば私がその人と仕事の話をしたことは1度もなかった。そもそもあまり記憶に残るような話をしていない。誰とも距離を縮めようとしない、徹底された個人プレーの仕事を眺めながらここには留まらない人間なのだろう、と感じることは度々あった。

    もう一人の2年目の先輩はつい最近、大手外資系の企業から内定を得たらしい。彼は入社当初に「僕は誰とも仲良くするつもりは無い」と言い放ったエピソードが有名だった。彼もここを辞めていくのだろう。

 

    少し前に「嫌ならやめればいい」という言葉に触れた。心に留めておこうと思った。私は無理やり矯正をかけるタイプで、中学校で伴奏を担当したときに自分が間違えたのにも関わらず、とぼけたふりをして全員の歌声を置き去りにし、そのまま強引なピアノを走らせて音楽教師の寿命を縮めてしまったことがある。(これは8年越しの懺悔です。)

    そうは言ってもある人から教わった「戦争は始めるよりも終わらせる方が難しい」という言葉を思い出さずにはいられない。理想は身の周りを散らかすことなく生きることなのだろう。多少乱れたとしても、自力で収束できる程度に留めたい。終え方は始め方以上に誤魔化しが利かず、延々と記憶に残り続けてしまう、このことを忘れるのはあまりに危険だ。

    一つ一つを上手に終えられる人のみ、満足度の高い人生を形成することができる。振り返ったときに見える人生は全て記憶の積み重ねに他ならないのだから。散らかさない覚悟と、万が一散乱してしまった際、それを回収できるシステムを設定しておくことが重要なのだと思う。