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2017/02/09

日記

 「お休みは、どこかへ行くの?」という先輩からの問いかけに、箱根にでも……、とふやけた感じの返事をすると、「明日は雪が降るから、気を付けて行ってらっしゃい」と、助言された。車を手配してくれた人に連絡をすると、箱根は積雪の可能性があり、運転には危険らしいとのことで、急きょ行き先を変更した。私自身は、場所に対するこだわりは特に無く、あるのはドライブに対するこだわりだった。それにしても、天気の話は人の悪いところを引き出すことがなく、誰とでも話せる共通の話題であり、おまけに時々、役に立つ。天気の話における信頼感が高まった。これからも天気予報は見続けよう。

 

 朝、大まかな計画を立て、お城を目指して北上した。高速を通過し、山道の中を分け入っていくうちに、自分の中にある、寒くて人気のない土地に惹かれる気持ちを再認識した。人が皆室内に籠り、必要最低限の時しか表に出てこないような、寂しい地域であればあるほど魅力的に映る。寒さの厳しい地域には、信仰がたくさん存在しているからなのだろう。フロントガラスに薄っすらと白く重なる雪を眺めながら、そんなことを考えていた。

 

 雪に包まれたお城は、綺麗で人がいなくて最高だった。この景色を、来年、もしくは再来年は、ドイツで見たいと思った。大学生くらいの男子グループがはしゃいでいる姿や、3,40代くらいの男性同士で静かに笑顔を浮かべている姿が散見された。自分で性別を選んで、誕生することができたらどんなに良いだろう。次こそは、生まれてくるときの、確率1/2の宝くじをきちんと当てたい。

 

 おおむね時間通りに温泉施設に到着した。お部屋の中に露天風呂があって、驚いた。私はあまりに多くのことを知らなさすぎる。昇ってゆく白い蒸気を眺めながら、歳月に思いを巡らせていた。日々は続いてゆくというけだるい幻想が、明日は今日と違うかもしれないという、憂鬱な思い込みに遷移する。いや、明日は今日と違うはずはない。日記を読み返していたら、昨年末も友人に、先のことで悩みすぎるのは、不毛なことだと言われていた。正解が複数ある問題が存在するならば、正解の無い問題も存在するということになぜ今まで気が付かなかったのだろう。こういう場合は、気持ちに従った選択をしないと、後悔することになる。